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 有紗は、意気消沈している創の瞳の奥へと語りかけた。 「偶然、――見てしまったんです。椎名さんと……、二人は恋人同士のように抱き合っていました。創さんとお友達は昔から素敵な方たちで。私とても羨ましかった。大学でも、お二人はお似合いのカップルでした。でも、――だからこそ許せない。だって、三人は子供の頃から、あんなにも仲良しだったのに」  少しずつ零れはじめた言葉は、有紗の気持ちの高まりにつれ止め処ない潮となって押し寄せる。 「昔から、創さんはみんなの中心に居て、幸せな気持ちを振りまいてくれる、私達の天使にも等しい存在でした。椎名さんも衛さんもとても素敵で、私皆さんを見ているだけで幸せでした。ずっと幸せでらっしゃると信じていたのに……。私は創さんの幸せな姿をずっと、――遠くから眺めているだけで私、幸せだったんです――」
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