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彼はゆっくりと私の向かいへ回ると、涙でぐしゃぐしゃになった顔をハンカチでそっと拭ってくれた。
「すみ・・・ません・・」
「いいえ」
「なんで・・・笑うんですか・・・」
「芽愛ちゃんが、可愛くて」
今度こそ、間違いじゃないよね?芽愛ちゃんが可愛いって言ったよね?
ちゃんと、私に向けられた言葉・・・だよね。
ゆっくり視線を上げると彼と目が合い、どちらからともなく笑う。
本当、かっこわるいなぁ・・・・私。
ふと足元を見ると、モカとレオン君が仲睦まじく寄り添って私たちを見上げている。
「あーぁ、レオンに先こされたかぁ。芽愛ちゃん、明日も一緒に俺たちと散歩してもらえる?」
「はい」
初めての約束だ。
私たちの時間はこれから始まる。
そして密かに願ってしまう。
幻となったプロポーズがいつか本物になればいいと。
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