幻のプロポーズ

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 その下がった目じりと笑いじわは・・・・・もう、反則です・・・。 「レオンの姿が見えたから、リードを引っ張っちゃったんだね」  そう言ってモカを撫でる彼の優しい彼の手に思わず見とれてしまう。  あぁ~、今だけモカになりたい・・・・・ 「レオン君っていうんですね。かわいい名前ですね」 「ありがとう。芽愛ちゃんだってかわいいよ」 「ぐふっ・・・・」  まっまた、可愛いって言われたっ!なんなの!朝からご褒美か!ご褒美なのか!ぁあ~、今の録音しておけばよかったぁ~っ!  はぁ~、もう自分でも顔が熱い。  きっと顔も、真っ赤になっているかもしれない。  治まれ、私の熱よ、治まってー。  大きな深呼吸を3回して、私はなんとか平静を保つ。 「あっあのっ!家はお近くなんですかっ!」  ぎゃー、私何言ってるのーーーーー!  そんなの聞いたらストーカーみたいじゃん!それに、近いから毎朝来てるに決まってるじゃないのよ!!!!そう思っても、最早手遅れだ。言ってしまった言葉は取り消せない。 「うーん、近いって言えば近いけど、実は車で来てるんだ。車っていっても、10分くらいなんだけどね」 「車で?そうなんですね。まぁ、町中を散歩するより公園の方が気持ちいいですよね」 「うん、それもあるんだけど・・・・」 そう言って彼は、照れたように笑った。その照れ笑顔、最早神です! 「実は・・・お嫁さん探し・・・ってのもあったりして・・・」 「え?お嫁さん?」  私の思考が一気にフル回転した。  お嫁さん→芽愛ちゃん可愛いね・・・・ってつまり・・・そういうこと・・だよね?  うそ・・・まじで! 「そっそれは、流石に早いのでは・・・・あはは」  しどろもどろになる私に、彼はどことなくがっかりしたような顔をする。 「そうかぁ・・・やっぱりもう少し時間をかけるべき・・・かな」 「あ、あの、絶対だめとか、いえ、寧ろ歓迎というか・・・・けど、突然だったので・・・その・・・心の準備といいますかぁ~」 「あ、そうだよね。けど、相性もいいみたいだし、よければ考えて貰えたら嬉しいんだけど」  凄い・・・・見た目はどちらかというと草食系?言葉も凄ぉーく物腰が柔らかいのに、中身は情熱的?完全肉食系!それも、百獣の王ライオンレベルの押しの強さっ!ギャップか?ギャップ萌え狙いか?益々魅力的ではないかぁ! 「はい・・・あの、前向きに、考えます。じゃ、私はこれで!」  恥ずかしいやら、嬉しいやらで、これ以上彼と一緒にいることにまたしても私の心臓は限界値を迎え、まるでお約束の様にモカを抱き上げ、彼を置き去りにして、逃げる様に走り去ってしまった。
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