2033年夏 香乃28歳

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2033年夏 香乃28歳

【オトナ、コドモ、性別】 ワタクシ本来物凄い天パなんですわ。修学旅行時間なくて髪乾かさないまま寝たら次の日頭の大きさ3倍でした。学校に行く時はサラサラストレートで行くんだけどね、1時間くらいかけてストレートにしてます。 影を拾う→全ては拾いたくない、でも捨てたその考えを心の選択肢の一つとして入れることにする。(ギャルもどきはいつも他人に合わせているけど、そこまでいかずとも合わせるべき場面では合わせよう) 大人は人に合わせること、折り合うことも必要。ギャルは自分のほぼ全部を殺してしまっていたし、ピストルスターとかは人に合わせたくなかった。両極端だけど、そうではなく、折り合う仕方を覚えた香乃は確かに大人になれたのだろう。 小さい頃は大人になったら得られるものばかり見ていた。お酒飲みたい、結婚したい、宿題したくない。でも大人になって失うことの方が多いことに気付くのは、もう子供時代があと少ししか残されていない時。 階段島シリーズに出てくるトクメ先生がこんな感じのことを言ってた。「人間はいずれ子供から追い出されてしまう。でも大人というのは、社会を作っていく責任を受け入れた人のことを言う。自分はどっちだろう、責任を受け入れる覚悟を持っていると思うことにしている。」ねーちゃんもピストルスターも、たくさんのことはもう諦めている。諦めなきゃ大人になれないと思っている節もある。でもそれは子供から追い出されてしまったと言うだけで、責任を背負う覚悟なんて持ってない。だから、ねーちゃんもピストルスターも、まだ子供。 小2の事件のことはあまり思い出したくない。今でも不意に怖くなる。でも自分がなるべく学校でその張本人たちにも普通に接することができたのは、あまりの恐怖で麻痺してしまったんだと思う。普通にしなきゃ、普通に接してあげなきゃ、って。クラスの輪を乱すからって。 英士はもう忘れてるんだろうな、オレが頑張って普通に接するようにしてきたから。こっちはずっと、いつも、頭の片隅にちらついていた。あの日の帰り道がずっとちらついている。なのに、なんで。何から守ってくれるんだ、何をもって大切にすると言うんだ。ふざけんな。 恋愛って人間関係を変えてしまう。「付き合う」って決めてしまったら、もう友達には戻れない。それが怖い。オレは誰かと付き合う勇気なんてずっと、これっぽっちも持てなかった。持てていたら、今頃、こんなに中途半端な関係を引きずることなんてなかったかもしれない。 付き合う覚悟も持てない、それなのに気付けば絆されて友達に抱く感情を超えてしまっている。そんな自分が誰よりも許せなかった。 どこで、何を、変えればよかったのかわからなかった。幼馴染(七咲広のことだけど)と仲良くしすぎじゃない?ちょっと、ねえ。って言われて。じゃあ、どこで変えればよかったの?なんで?もう好きじゃないのに、乙女はもう捨てて、やっと普通に接せるようになったのに。ってなったことがありました。だって、それまでと何も変わらず、同じように接していただけなのに。変わるタイミングを逃してしまった。よそよそしくしろって言うんじゃない、ただもう少し距離を取りなさい。それって何が違うの?実際の距離は近くない。昂希と幸衣みたいなベトベトの距離感は流石に変える必要があるなとは思うけど、オレらはそうじゃなかった。どうすべきなのか何もわからなかった。今もわからないまま。 性別を嫌う心は捨てられていない。でもそれを表に出さないための蓋として、ギャルもどきの影が拾われた。
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