2023年秋 香乃高卒

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2023年秋 香乃高卒

【三年後、大人、鍵のかかった部屋】 「小四の自分にいろいろ押しつけるのもどうかと思い」→小四に面倒ごとは押し付けないようにしている。ただ子供扱いしているというだけではなく、千咲ちゃんと一緒にいて、普通ならつかわなくて済んだ気遣いを示し続けた彼女を労う気持ちもなくはない。 「いつか、鏡の中に見た。」→これがアムカなら多分「今日も、鏡の中に見た。」になる。全てに疲れ切った表情は、アムカの時にしていて、ピストルスターはそうじゃなくなっていて、ねーちゃんはまた戻っている。 「昂希に会ったりすんの?」→体育祭で会ったってことになってるけど。現実の話をすると…去年も今年も体育祭は家族以外来るな。それに自分の学年の担任たちは全員転勤した。学年の先生残ってるの学年主任だけ(それも退職して再任用)。弟妹がいなきゃ行ける理由がない。高校の文化祭も外部から来るの禁止。もう会えない気がする。 (ここでも後日談:なんか成り行きで会えましたよと。) 一人称「私」→社会に出て、公式の場では「私」。それに女なんだからやっぱり「私」であるべき。 「失くしものは見つかりましたか?」→階段島シリーズでは、島を出る条件が失くしものを見つけることだった。読めばわかる! 「必要なものは全て勝手に提供されるこの世界で、子供のままだ。」→この小説内では「子供」と「子ども」と「コドモ」が出てくる。子供…供、には女子供とかみたいに、付き従うもの、という意味があり、子どもは大人のお供ではない、ということで新聞の多くは「子ども」にしているらしい。この小説では、「大人のお供」という意味を込める時に「子供」にしている。子ども…子供の逆。愛情も含んでいる。例えば【本心、断髪、全う】でおばあちゃんが「子どもは元からいない」と言った時の字は子供じゃなく子ども。コドモ…子供ってどこからどこまでなの?どうなれば大人なの?わからない。「オトナ」も同じようなニュアンス。【オトナ、コドモ、性別】とかで出てくる。 ピストルスターは拾われたくないと思っている。むしろ拾われるべきではない。もう今更、昂希を好きになってはいけない。だってもうそれぞれ別の道を歩いているから。 コンクラーベはオレンジジュース、牛乳、木苺のシロップをシェークする。カクテル言葉は鍵のかかった部屋。ローマ教皇選挙の名前と同じ。 【嫌い、好き、ネイル】 莉乃の呼び方が年を重ねるに連れよそよそしくなっていく。 「イライラした。」→「私」にイライラしたのは、一人称を戻したのは社会の目を気にしてなんだろうとわかっているから。「その時」というのは姉の結婚式か何かなのだろうとわかっている。 そんで失敗しろよ、と言えなかったのは、姉の不幸を願うのが怖かったから。乱暴なことをできなかったのも、ここでは何したって怒られないのに、それでもそういうことをするのが怖かったから。優しいのでも、自分を律しているのでもなく、怖いだけ。 なんでもできるよね、いいな、ってよく言われる。でも、姉の方ができるんだ。なんでも金を稼げる程度にはできるんだ。そんな姉と比べれば、自分なんて全然できないし、器用貧乏だし。(こういうのがあって木葉秋紀を好きになったんだよってことは置いといて。)姉と自分は才能の差があって(この表現好きじゃないけど、所謂天才と秀才って感じ)、見た目も性格も全然違って、でも声は同じで、やっぱり自分は姉と同じ家族なんだってそこでは思えて、同じ声をしているのが少し嬉しかった。 姉と自分で親に怒られた回数を比べれば、自分の方が遥かに少ない。年の差もあるけど。でもそうなってるのは、姉と同じ失敗をしないようにしてたから。姉が褒められたことは自分もしたから。 昂希は6個上に姉ちゃんがいて、莉乃と友達だった。水木の兄ちゃんは5個上、小方の姉ちゃんは四つ上。年の差兄姉の愚痴をみんなでぐちゃぐちゃ言うタイムはいいストレス発散でした。 姉がいなくなって、母が言った忘れられないセリフが、「いなくなって楽になったのが悲しい。」親子喧嘩から早く逃げたくて急いで掻き込んだ夕飯の不味かったこと。喧嘩の声が聞こえないようにイヤホンつけてたら、母さんに呼ばれてたのに気づかなくて、それでめちゃくちゃ怒られた。あんなのがなくなった日々が、なんて平和だったんだろう。 行ってらっしゃい、に じゃあね、としか言わなくなった姉にとって、やっぱり実家はただ行かなくてはいけないというだけの所で、一番安らげるのはとやかく言う人のいない自分の城なんだろうなって。 謝罪の重さは下から ごめんなさい、すみません、申し訳ありません らしい。ごめんは御免、許せ、ってことらしい。 ねーちゃんは、姉の幸せを願いたくて捨てられた。 姉はただ付き合ってみたかっただけ。少なくとも最初はそうだった。そんなの馬鹿だよねって今だに思ってます。 一人称「俺」→やっぱり俺のほうが自分の性格とか的に合ってるし、口に馴染んじゃった。 女だから男だから。そういうのは本当に嫌いだったけど。他人に合わせるほうが楽で諦めてきてしまった。 【救い、ネイル、肯定】 結婚式は来週→ねーちゃんが捨てられたのは多分姉が結婚すると分かった時。結婚がわかったのが式の一週間前ってんだから、いつものごとくギリギリに突然事後報告してきたんでしょうね…(同棲の報告も事後報告でした) 広に恋愛感情があるとは思えん。なんかこう、低学年の時の付き合い方をずっとしてる感じ。男女仲良く、なんて言われなくてもできてますよー時代がずっと。 初めての彼氏と結婚したことだけが救い→“家の決まり”に反して作った彼氏。そっちにべったりで本当の家族は蔑ろにしていた。そいつと別れて別の彼氏を作って〜よりかは、そいつとそのまま結婚してくれたほうがマシ。(別れてくれてもいいんだけどね!w) コーヒーカップが消えていた→ここは現実ではない。自分はここにいる限り結婚もできない、他の誰かに恋することもできない。 イルミネーションとか夜景とか夕方の海とかその他色々、リア充いそうーって思うと足が遠のくのよね。ピストルスターはリア充爆発しろ勢。いないなら行こう、ってなるんだから、きっと島にはイルミネーションとかもあるんだろうな。 飛行機雲を描く飛行機に着陸場所はない→ピストルスターがそこに飛行機雲があったら綺麗なのになと思ったから飛んできてくれただけで、ピストルスターの視界から消えれば、飛行機も消える。飛行機雲を描くためだけに飛んできた。 美しい海に思い出はない。胸を温かくする記憶も、締め付ける記憶もない。思い出がなくてよかった、とよく言っているけれど、そう言っている時点で思い出はないか?って探してんだから、どっちにしろ昂希のことを思い浮かべてちょっと苦しくなってる。 月の道を辿ったらただ水に入って入水するだけだよね。って。 今思ったけど、満月なら深夜0時に南中するわけだから、月出るのって6時頃じゃね?秋の日没って6時前後だから、ってなると夕方に月の道ってできるか?矛盾に気づいてしまった…めっちゃ時間かけてカクテル作ってましたってことにするか… カッターとかで切る勇気はなかった→当初から「死ぬのが怖い」が見え隠れしてる。 自傷=リスカ的な感じある。そういうなんも知らねえ奴らには「リスカなんてしてないでーす」って言える。てか言ってた。 前の席のヤツはめっちゃベタベタくっついてくるし、後ろの席とは気まずすぎるし、水木とも昂希とも夏瀬とも席離れてるし…最悪でした。本当に。席替えすると大体「席替えしてこんな席になりましたよー」って学級通信渡されるじゃん、あれビリビリに破いて捨てた。 職員室に図書室の鍵がなかった時から嫌な予感はしてた。行ってみたら満弥がいて。でも正直、がっかりよりも、ホッとした方が大きかった気がする。多分、誰もいなくても、昼休み終わってから死んだと思う。だから自分はずっと、特別死にたかったわけじゃなくて、ただ辛いのから逃げたかっただけなんだと思う。 神様最低、死なせろよ、って何回も言ったけど、最後には、「ありがとう、これが自分に望んでることなんだね、じゃあ生きるよ。」って思えた。 また明日って言葉がすごく嫌いだった。でも、少しずつ、悪くないなって思えるようになって。自分の周りには大切な人がいるんだって分かれて。本当に良かったなって思う。 授業中机の下でアムカしてたら、昂希が腕掴んで、「アムカなんてすんじゃねーよ」って言ってきた時の顔は多分ずっと忘れない。アイツほとんど名前呼んでくれなかったんだけど、その時が数少ない名前呼んでくれた時だった。多分それが本心だったんだろうけど、卒業間近の時は、死ななきゃ別にいいって言ってくれた。でも、おかしいっていうのも否定しないでいてくれた。それが、本当にありがたくって。泣きそうだったのは、秘密。 小方も、俺にとってアムカが生きる手段なんだってわかってくれてたから、傷を見つけた時も大体は頭を撫でるだけだった。卒業式直前に話してくれたのが、死ぬな、だったから、小方が自分のこと親友で大事だって思ってくれてるってわかって、コイツのためにアムカやめようって思えた。自分がいなくなれば沢山の人がスッキリするだろう、自分ももう疲れたしって死にたかったけど、親友がいなくなるなと言ってくれた。アムカを否定しないでいてくれた。 昂希は自分のことわかって受け入れてくれてるんだって嬉しかった。やっぱり昂希は大切な存在だって、気付いた。そして勢いで告ってしまったというわけです… 【オトモダチ、二十九日、割り切る】 オトモダチは南の海へ行って、消えた。やっぱり南の海は現実に続いているのかもしれない。 姉の結婚を祝うのは心からでもなんでもなくて、ただの愛想。 オトモダチが最後にピストルスターに伝えたかったことは、愛想笑いも人を信じることも無意味なんかじゃない、ということ。 ねーちゃんは少し、姉のことが羨ましかった。自分にも大切な人が欲しいと思っていた。それもあって姉を祝えなかった。でも祝うためにオトモダチの一部を拾ったとわかって、それは正しいことだとわかっていても、どこか悔しかった。 オトモダチの手紙は、オトモダチが笑っていたことの証拠で、それが消えて欲しくなかった。 昂希にフラれる会話は辛いけど、でもそれは昂希との会話に間違いはなくて。だからとっておきたかった。 オトモダチはもう笑わない。それが怖い。中一の頃くらい笑っていろよ。 【連行、体力テスト、ファミレス】 ねーちゃんと入れる曲が被った。2人とも十八番から歌って調子に乗るタイプなので、十八番は変わってない。(ちなみに十八番は365日の紙飛行機です) ピストルスターとアムカはノンアル→自分はまだあくまで子供なんだよ、とわかっていて、ノンアルにとどめている。 アムカはただみんなでカラオケがしたくて。人を連行してみたくて。ワイワイファミレスに行きたくて。下らない話をしたくて。人の仲をひっそり取り持ってみたくて。一匹狼、そんなの興味ありません、みたいな雰囲気出してても、お祭りは好きだし、そういう女子っぽいこともしてみたくて。ただそれだけ。
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