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2027年夏から秋 香乃22歳
【乙女、消失、脅迫】
さすがギャルもどきだ→ギャルもどきは社交的。何か理由があって引きこもっているなら助けになりたいと思っている。でも乙女にとってはそんなの迷惑。
ギャルもどきに寛容になっている→前は都会や人混みにギャルもどきを縛り付けていた。今も都会に住んではいるものの、都会に縛り付けられているわけではない。自分の好きなところで買い物をできる。人混みに振り回されることもない。ギャルもどきは「他人に無理矢理自分を合わせる」ことの象徴。ねーちゃんを見ればわかるように、一人称を他の人に合わせたりしている。他人に合わせることを毛嫌いしているわけではなくなりつつある。
手紙は不気味→わざわざ字にして伝えるべきことは本当に重要なことだけ。手紙が届いたのはオトモダチの一部が消える時だったので、なんとなく嫌な予感がする。
浴衣をきちんとハンガーにかける→雑で、乱暴っぽくすらあるが、根底はやはり丁寧。飲みかけの飲み物をそのまま捨てられないのと似ている。(嫌い、好き、雫参照)
現実の香乃は広のことが完璧に冷めている→乙女が消えるのが花火の日。きっと花火を見に行って、そこで何かがあった。(真剣な交際を始めたとか。)それで、「彼女は今誰と花火を見ているのだろうか など、考えなければよかった。」に繋がる。
うっかり乙女に話しかけて、何も返事がしなかった。その時の恐怖。
広のことは結構長いこと好きだった。その思いすら消えてしまったら、広と比べて一緒にいた時間も少ない、好きだった期間も短い自分はもっと早く全く消えてしまうんじゃないか。それが怖い。それと、純粋に乙女が消えるのが寂しい。
一人だけ取り残された屋台は、ピストルスターが欲しいと思ったから残っていた。香乃ばかり大人になりやがってというヤケ酒。(オトモダチの一部が消えた時もヤケ酒しようとしていてねーちゃんに止められたのに飲んでる。それまではまだ自分は子供だからと我慢していたけど、やっぱり成長してない。)
そこにあったはずの家が一軒なくなっていて〜…乙女が完全にこの島から消えてしまったということ。
小4に乙女が消えたことを伝えなかった→小4は今までいろんな恋が消えていったと言っていた。乙女が消えたのもその一つに過ぎない。それに小4は広を好きだったことはない。
香乃からの手紙→中3以来恋をしていないと書いている。つまり香乃は昂希を好きになった以来誰も好きになっていない。また、昂希への感情を恋だったとすっぱり言ってしまっている。ピストルスターと違って丁寧な文章。 オトモダチを返して欲しいと思っていることも、乙女を返せと言っているのも勝手な話で、それは香乃に成長するなと言っているようなもの。
ごみ箱に投げ入れたノートの切れ端が別な手紙に触れる→まだごみ箱の中にオトモダチからの手紙が残っている
大人になんかならなくていい→ただずっと、幼く、無責任に、昂希と一緒にいたいと思っている。
ピストルスターが書いた手紙→上の字を拾うと「おとめかえせ」(乙女返せ) 返せ、とは言っているが、香乃に届くのはきっと「好きな人は親友であれ」「本当の自分になれない人とは付き合うな」くらい
【戸惑い、倦怠期、歪んだ愛】
ギャル、オトモダチ、小4は「乙女」を持っていたことがない。乙女が消えたら記憶からも消えてしまう。アムカ以降は「乙女」を持っていたことがあるので(用は広に狂ったように恋していたことがあったので)、乙女が消えた後も彼女のことを覚えている。
小さい頃の恋は、「キュンキュンするためのもの」。ピストルスターとかにとっては、「支えてくれる人が欲しい」。
恋はポッと出てくるし、シュンッと消えることもある。だから乙女もピストルスターもいつ消えたっておかしくない、恋なんてすぐ消えるもの、そんなの仕方がないよ、という思いをギャルとかは持っていたかも。
歪んだ愛→歪む、という字は不と正が組み合わさってできている。正しさは不。
広の前に抱いていた恋だって無理矢理捨てているから、それもこの島に来たのだろうけど、ピストルスターの時にはもういなかった。やっぱり恋は消えたりできたりが激しいのだろう。
広をもう好きじゃなかったのに好きなんだと言い聞かせていたのは、やっぱり広は心の支えになっていて、それを手放してしまうのが怖かったんだと思う。
【どこへでもいけるドア、再会、邪魔】
島のみんなが集まることは減った→何だかんだみんな乙女が大切な仲間の1人で、その乙女を忘れてしまった人のことを許せない。それに、きっと自分は誰かと付き合い始めたのだろうということを受け入れられない。
海の中を歩こうとすると海の量がずっと変わらない⇔そんなに進まなくても十分泳げるくらい水が多くなる→自殺はできない、でもしたいことはできる。海の量が簡単に変わるのはやっぱり普通の世界ではないから。
オレにとっては少し前→現実で生きていた間のことは鮮明に覚えている。記憶は捨てられた時のものがそっくりそのままセーブされていて、ごみ箱島での記憶は別枠。
だからオレは捨てられた→ピストルスターが捨てられたのは香乃が前へ進むため。昂希を好きで、苦しいから。中学に固執しているから。もしかすると、ピストルスターの本当の正体は「昂希を好きな気持ち」というより「中学に固執する自分」かもしれない。(となると作者はピストルスターを捨てれてない。わしは中学5年生であるぞ。)
卒業式に帰った道を辿る→けどその道を通ってしまうのは心の底ではそこを通りたいから。本当に嫌だったら通らない。この世界はそれを強制したりしないから。いっそ悲しみに溺れてしまいたい、ってやつ。
幸衣→実は【三年後、大人、鍵のかかった部屋】にも登場してる。「オレは昂希の一番にも、ヒロインにもなれやしない。いつだってどんなことだって、オレはいつも二番目以降だ。〜だから昂希は、こんなポッと出の女なんかじゃなくて。その一番の人と、幸せになればいい。」この 一番の人 が幸衣。
本当は全てを好きでいたかった→愛想笑い、人を信じる気持ち…オトモダチ、ギャルもどき 自分を高める気持ち…小四 いつかの他人を好きだった自分…乙女 将来の自分…ねーちゃん 自分が嫌いだと言う正直な思い…アムカ
大切なものを大切なままにしておけない→「大切」というフワっとしたままでいいのに。その「大切」に名前をつけようとしてしまったり。大切にしなくちゃ、と思ってしまったり。
わかりたくないよ。→アンタの好きな人なんてわかりたくないよ。
いつもの島と少し勝手が違う→いつもの島では欲しい時にすぐご飯が出てきた。ここでは時間になるまで待たないと出てこない。
母の声がした気がした→ここはまだ「気がした」程度。母の声が聞こえるわけなどないとわかってる。
【日常、くだらない、今はまだ】
(脳内の)昂希を追い越し→母の声がした気がしたと同じ。ここが偽物だとわかってる。
うぃっす 「ちーす」→小方のセリフに「」がない。鉤括弧がない会話はピストルスターが心の中で作ってる会話。
そんなことを言えばおこちゃまと言われそうなのでやめた→テストでいい点取れば授業態度なんてどうでもいいでしょ、っていう考え方はたしかにおこちゃま。この辺まではまだ回想っぽい。
オレは一人で暮らしてるんじゃなくて、父母と三人で住んでいるんだ。そうだ。昂希が、水木が、ぼうっと揺らぎかけて→完全にここを「現実」にしようとしてる。揺らぎかけたのは、ここが現実なんだという妄想の中に理性が入り込んできたから。
オレは中学三年生。現役JCだ。→何一つ失っていない、というのは、中学生活がもう過去のものになって失ってしまったみたいなこと考えちゃったけど、それは全部ここにある、自分は中学生なのだからまだ何も失ってなんかいない、と言い聞かせている。でもその続きではやっぱり回想っぽい。「くだらないことが重要で、いつだって真ん中にあって。くだらないことを源に、必死に何かをしたり、笑ったりするのだ。」現実にしようとしながらも、まだ俯瞰的な物言いをしている。
ウチなんか出る幕ありませんて。→それまでは一人称が「オレ」だったのに「ウチ」になっている。「ウチ」は中学時代のものだから、と一人称を変えたのに戻っているのは、いよいよピストルスターが中学時代の劇を始めたから。
ウチはまだ、昂希のこと、好きじゃないんだよな。→中学時代この頃はまだ昂希のことが好きとかそんなこと考えていなかったから、自分は昂希のことなんかなんとも思っていないのだ、と言い聞かせている。でも本当は昂希のことが好きだから、昂希のことを考えて胸が苦しくなっている。
【紛い物、馬 鹿、気休め】
今日何日、は禁句→実際この島に来てから1ヶ月ほど。でもこの島の設定は「卒業式前」なのだから、普通に時が流れていれば1カ月経てば卒業している。日付なんてものこの世界にはない!
教室から浜辺が見える→ごみ箱島のみんなが来て、ここが教室でもなんでもなく偽物島なのだとしっかり認識し始める
いくら足掻いても現実にはもう戻れねえの→皆が頑張って受け入れていることだ、お前もとっとと受け入れろ!とわからせようとしている
教室が消える→妄想を終わりにした。
胸ぐらをねーちゃんが掴んでいて→それまでは「アンタらみたいなのは知らない」など言っていた。自分そっくりなやつが現実に何人もいるわけがないから。でもここでねーちゃんやアムカの存在を認めることで、ここが普通の世界ではないこと、現実ではないことを受け入れた
「…オレ、馬 鹿だね。」→一人称が「オレ」に戻る。やっぱりあの頃にはもどれないんだなあ、と。
バカ と 馬鹿…漢字表現は重め。“愚か”的なニュアンス付き。カタカナは軽い。
きっとあの扉をくぐれば、きっとまた、もう一度だけ、あの現実紛いのところに行ける気がするのだ→扉の向こうは、その人が見たい景色。現実と同じ景色はごみ箱島にはない。
罪なんて犯していないのだから。→この島に来て、この島に入り浸っていたことは、愚かなことではあるけど、謝るべきことではない、と思っている。自分はただ奪われたものを取り返そうとしただけなんだから、と。(コロナの休校で奪われた卒業式前の日々を取り戻したかった。)
中三としてではなく、哀れで愚かな卒業生として、あの空間に、戻らせてください。→最初にドアをくぐった時は、とにかく戻りたかった。帰りたかった。今度は、卒業生として。戻ろうなんて無理だということは知っている、でも、自分がいた場所を見るくらい、許して欲しい。あくまで卒業生として行く。
近所にあるスーパーの前だった→前回は教室に出た。学生に戻りたかったから。今回は現実世界をもう一度見たかったから。
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