第二章 中学二年 冬

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 マラソン大会当日の朝、陽斗は父と母と出かけて行った。 「本当に来ないのか?」 「いいのよ、陽斗くん。あの子は一度言い出したら頑固なんだから」 「行きたくない者は、放っておけばいいさ」  私は そっぽを向いたまま、彼らの言葉を全部無視した。  いや、本当は気になって仕方がなかったのだけど。頑なに拒否してしまった手前、今更行くとは言えなかったし、行く気にもなれなかった。  陽斗が選手として走る姿を目にしたら、益々自分が惨めになりそうだった。 41e464d0-db7c-4dc3-9b1b-73fec26268ef
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