第一章 中学二年 秋

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 背丈は私と同じくらいだろうか、男子にしては小柄なほうだと思う。クラスメイトの男の子たちを思い浮かべて、無意識のうちに比べていた。  けれど、華奢な印象ながらも引き締まった身体。加えて整った顔立ちから、いわゆるイケメンの類に入るのではないかと思う。  その上、人懐っこく爽やかな彼は、たちまち母のお気に入りとなったようだ。 「美織はずっと一人っ子だったからね。兄弟が出来て良かったじゃない。誕生日は陽斗くんのほうが早いのかしら、だったらお兄ちゃんね」  機嫌良く母は言ってくるけれど。私は これまで、一人っ子で寂しいとか、兄弟が欲しいなんて思ったことは特になかったから、戸惑いしかなかった。  父に至っては、ずっと男の子を欲しがっていた節があり、初めから母以上に歓迎ムードだった。
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