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第二章 中学二年 冬
学校からの帰り道。
校門から二つ目の角で友人たちと「また明日ね」の挨拶を交わした後は、たいてい一人になる。
今はすっかり葉を落とした木々が少し寂しげに映る。吹き付ける冷たい風を少しでも和らげたくて、マフラーに顎を埋めながら歩いた。
師走に入ってから一気に寒さが増した気がする。予報ではたしか、初雪が舞うと言っていた。
「おーい、美織っ!」
不意に、後ろから私を呼ぶ声がした。既に聞き慣れたその声の主が誰かは、振り向かなくても分かる。
歩を緩めた私の隣りに、あっという間に追いついた陽斗が肩を並べてくる。
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