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黙ったままでいる私に、彼は一人で喋り続ける。
「年に一度の大イベントなんだってな! 父さん、ものすごく張り切ってるし。本当、楽しみだよな」
陽斗は、私の父を「父さん」と呼ぶ。
どうやら父は、陽斗にそう呼ばせるのを気に入っているようだ。私が呼ぶときなんかよりずっと嬉しそうな顔をしている。
父は きっと、陽斗が実の息子だったらどんなに良いかって思っているだろう――そんな考えが湧き上ってきて、いたたまれなくなった。
「それで父さんがさ、俺にも出場してみないかって。もちろん、美織も出るんだろ」
「私は……出ないよ」
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