第二章 中学二年 冬

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「何でだよ、折角のイベントなのに」 「出たくないのっ!」  すんなりとは引き下がらない陽斗に、つい口調がきつくなってしまう。それでも彼は さして気に留める様子もなく、明るい調子で続ける。 「じゃあ、美織は応援だな。会場まで一緒に来てくれよ」 「行かない」  即答して、足を速めた。  これ以上 話をしたくないから ついて来ないでって気持ちだったのだけど、陽斗は同じようにペースを上げて隣りの位置をキープしてくる。どのみち帰る家は同じだし、その点は諦めるしかなさそうだ。  その後も家に着くまで陽斗はいろいろと話題をふってくれたけれど、私は唯 俯き加減に最低限の言葉を返しただけだった。
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