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こうして恋心を自覚してもなお、輝光との付き合い方がそんなに急に変わることはなく、そこまでお互いを束縛するようなものではなかった。ただ連絡は前より頻繁にとるようにし学校の構内でも待ち合わせをし、ご飯を一緒に食べたりするようにはしていった。
僕は将来の自分の進みたい道が高校からあった。
農業の未来を考え、無人農業ロボットの分野に進むべく邁進することにした。
そして、研究室もその分野に強い教授を選択することにした。志しをおなじにする、仲間がいて夢中になった。そのなかでも加納 継という男がなかなか面白い男で蒼と気があった。
加納は、農業機械の会社とも顔がきくらしく、農家への知り合いのも多い。すっかり僕は彼の信奉者だった。だから、"榊はいい匂いがする"と言って
しょっちゅう匂いを嗅ぎにくるのも、距離が近くても全くきにせず、彼がアルファときいても特になんとも思わなかった。学食でふざけて
加納が首筋に近づいたとき嫌な音が響いた。
「ガァォゴッッッ」
なんの音かと首を捻れば、いつの間にかいた輝光が
加納の頭を鷲掴みテーブルに押し付けた音だった。
僕はビックリして
「輝光!なにやってんだよ!」と叱責すると、
久しぶりにみたあの、禍々しい仄暗い雰囲気をみにまとい、
「何って……?人のものに勝手に手出しといて無傷で済むとでも?」
言外に俺そんなに甘くないよと薄暗い笑いを浮かべた。
加納はなにもしていない。ただふざけていただけだ。
僕は、この場を収めるために
「加納大丈夫か?医務室いくか?」と言って、
輝光をほって、急いで彼を医務室へ連れていった。
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