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開口一番、友達のほうが
「こいつ、ルームシェアしてるなんて、一言も……」
「そうなんですか。あっちの部屋なんで申し訳ないんですけど、一緒に連れてってもらっていいですか?」
と僕一人で、輝光を連れていくのは無理と踏んで、初対面の友達に頼みごとをしたのだった。
そして、部屋のベッドで、二人がかりで転がして、一息ついたので、友達に声をかけ、よければお茶でもと。
夜分に悪いので結構です。と言っていたが、申し訳ないから、そのくらいさせてと言って引き留めた。
そして、彼の普段の様子が少しわかった。
お友だちの名前は、斉藤君。
サラサラの、黒い髪に、切れ長の目。
これまた、類は友を呼ぶとはこのこと。
なかなかの端麗な容貌。
彼曰く、ほとんど輝光はプライベートのことは喋らないとのこと。
サークルにいるのも、人脈作りとサークルの先輩が輝光の高校の先輩で、仕方なくはいったというものであった。
斉藤君は、そのあと
「しかし、驚いたなー。他人に興味がなく、深入りされるの嫌いな奴が、赤の他人と一緒に住んでるとはなー」
僕はどう返していいのか一瞬迷ったが
「たまたま、親が知り合い同士で、いく大学が一緒なんで」
と大した理由じゃないと、斉藤君に言うと
それでもスゴいと笑っていた。
じゃあ、僕はそろそろと立ち上がった斉藤君にお礼を言い、またよければ来てくださいと社交辞令を言ったら、ほんとに来るからねと言いながら帰っていった。
そして、輝光の部屋に様子を見に行くと
すっかり、スースー寝息をたてていた。
布団を取りに行き、かけてやると、
手首を急に捕まれた。
「なんだ、起きたの?」
と声をかけても返事もしない。そして、掠れた声で
「一緒に寝て……最近なんで帰ってこないの?」
と一言。確かに課題の提出と、実験でここ1ヶ月ほど忙しく大学で寝泊まりしていたが、
そんなことを気にしていると思わなかった。
だから、そのまま伝えたのだが、輝光は納得していないらしく、ここで一緒に寝てくれの一点張り。聞き分けのない酔っぱらいだから、わかった。わかったと言って空いてるスペースに横になると、後から腰にてをまわし密着してきた。そして、うなじの匂いを嗅いでいい匂いと言っていた。オメガ性がないのだから、そんなわけはないのだか、クンクンとしつこい。
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