継;仄暗い彼岸花

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継;仄暗い彼岸花

--------------仄暗い彼岸花の続編になります---------------- 西ノ原輝光と、榊蒼は 関西の国立大学に在籍することになり あまつさえ、同棲することとなった。 僕と輝光は、元々家の決めた政略結婚の相手だが、僕がオメガ性を病気でなくして、一度は白紙になったその約束を、輝光の熱心さで再び結ぶこととなった。 僕は農学部へ彼は法学部へと進学し、 敷地は一緒だか、道路を隔てた校舎のため、ほとんど会うようなことはなく、専ら彼が学内でどう過ごしているかは、よく知らなかったのだ。同級の女子学生が 噂話をするまでは。 「西ノ原の息子が、法学部の一年らしーよ。」 「あの政治家の西ノ原?」 「そうそう」 「見た目が麗しすぎで、近寄れないけど」 「へー、見てみたい~」 「でも、性格はあんまり良くないらしい  告った子が、興味ないって断られたらしい」 「あのオールラウンドサークルにはいってるあたり、遊び人だよね」 その話を聞いて、僕の思ってる輝光とだいぶ違う。輝光は思った以上に紳士的な男だった。 特に干渉せずにお互いの学生生活、尊重してすごし、快適そのものだった。 生活を共にしているから、家では顔を会わせるが、さりげなく日用品を買い足してくれたり、 朝ごはんを作って一緒にたべようと誘ってくれたり、嫌な思いをしたことなどない。 確かにサークルの酒席には頻繁にでているようだし、それ以外でも色々と忙しそうにしているので、そんなに家でも彼に会う時間はないのだが。 だから、僕は失念していた。 彼のこと何も知らないんだということを。また、彼もまた僕に拘るのは、今までの閉塞的な環境のせいなだけかもと。 大学生になれば環境も価値観が一気に変わる。4年後にまだ、彼が僕を選ぶかは怪しいものだ。しかも、彼は、アルファ。魂の番に会えばそっちにいくに決まってる。何せ僕はオメガ性がないのだから。 いくら伴侶の約束をしてたとしても、それはその時によるのだ………… そんななか、ある日輝光がサークルの友人に抱えられながら、泥酔して帰ってきた日があった。 玄関のほうからなにかをひっくり返すような音がしたので、見に行くと、ちょっとビックリしたような顔の輝光の友人と、その肩に凭れている真っ赤な顔をした輝光。
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