ツンデレ、腹黒男の本気 ~渉ルート~

28/38
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/188ページ
あまりのプレッシャーに耐えきれない三人は、声にならない声を上げ床に座り込む。 そうして、そのまま動くことが出来なくなり… 唯々、蒼白な顔でガタガタと震えるだけとなった。 「ヘタレが」 日頃の穏やかさが無くなり、まるで抜き身の刃の様な渉を… クラスメイト達は恐怖の眼差しで見詰めていた。 が、剛は全く怯えたふうも無く、やれやれと言った様子で頭を掻いている。 蛍は、と言えば… ハニーカラーの瞳を目一杯に開け、下から見上げていた。 その瞳に恐怖の色は全く無く… 「ふぇ?」 (せ、生徒、会長、さん? 人が変わっちゃってますが? ど、どうしちゃったのかな?) 只、驚いた様子で… 「クク、コレが奴の“魔王様”と呼ばれる所以だな。 “超絶俺様、ドS”の腹黒男だからさ。 だが…」 剛は蛍に笑顔で話し掛け、一度言葉を切る。 そうして…ポケットからスマホを取り出し、操作して画面を確認していた。 「失礼、終わったぜ。で、続きな? 奴の言動は常に“正義”だ。 それは何があろうが、絶対にブレねぇ」 「はい。だって、生徒会長さんですから」 剛の説明に蛍は笑顔で答えた。 彼女の言動に剛は目を見張り、渉は左手を口元に当て、可笑しそうに笑う。 「ク、クク…それは、ありがとうな。 人が変わっちまっても、恐くねぇんだ? 信じてくれてるからか?」 微笑を浮かべる金色の瞳が間近にある。 それを笑顔のまま、蛍は見詰め返し返事をした。
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!