ー イチの恋 ー

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【アラノイアス・オンライン2】 ナナ「へぇ、イチとサンとの間にそんなことがあったんだ」 サン「俺もさぁ、イチが俺のことが好きだって後から聞いてビックリしたよ」 イチ「あの頃の私はね、我ながらなかなかの青春だったんだよねぇ」 ゴ「ククク。 その後サンから話しを聞いたら、学校で一緒に歩いていたその女子ってサンの妹なんだって」 ナナ「サンの妹?」 イチ「ゴォ、それ以上言うなぁ!」 サン「イチィ、俺のことが好きなら好きって早く言えばよかったに。 勝手に妹を彼女と勘違いしやがって」 イチ「だってぇ、あんなに女の子とイチャついてたら誰だって勘違いするよ」 サン「ああ、よく勘違いされるんだよ。 歳が1コ下の妹は、俺に少しブラコンなんだよ」 ナナ「ブラコン? それはそれで問題ですな」 ゴ「し・か・もだ。 サンのことをあきらめたイチはすぐ別の彼氏を作ったんだよ」 ナナ「やるなぁ、おぬし!」 イチ「バカやめろぉ、バカゴォ!」 サン「俺は聞いていないぞ。 だれだれ?」 ゴ「サンは知らなかったの? 野球部の佐々木先輩だよ」 イチ「バカゴォ、それ以上言ったらぶっ殺す!」 サン「おお、俺より体がデカくてマッチョの佐々木先輩かぁ」 ゴ「イチはね、体のデカい男が好きなんだよ」 イチ「余計なことをペラペラしゃべりやがって。 いつかお前を怨んで、夜にでも枕元に出てやるからなぁ」 ゴ「夜の枕元に? イチ、怖いこと言うなよ」 ナナ「サンのことをあきらめてすぐ別の男にいくって、そのイチの行動力がすごくない?」 イチ「だってさぁ、私たちはまだ若いんだし。 いっぱい恋愛もしないとね」 サン「そもそもだ。 イチとゴってそんなに長い付き合いなのに今まで何もなかったのか?」 ナナ「そうそう、なんか幼馴染み以上って感じだよね?」 ゴ「なんかイチとは昔から家族ぐるみの付き合いだから、親戚というか兄妹というか・・・」 イチ「はぁ、あんたは何言ってるの? ゴは昔から私の家来だから」 ナナ「出た、イチのストレートパンチ」 サン「俺にはお前らの関係がよくわからん」 ゴ「おい、イチ! 家来ってそれはねぇだろ?」 イチ「ハハハ! でもさ、あの夜の公園の時に言ってくれたゴの言葉は本当に嬉しかったのは事実だよ」 ゴ「お、おう。 どういたしまして」 サン「なんだかんだ言って、お前たちはずっとイチゴコンビだな」 ナナ「イチは心も体も強いんだね」 イチ「ハッハッハ、イチは絶対に死なない。 イチ様は永遠に不死身なのだぁ!」 3人「よく言うよ!」 ーーーーー しばらく会わなくて遠くに離れていても、元気で気性の荒いイチの性格は変わらない。 オンライン同窓会ではイチはあんなに強がっていたけど、結局マッチョの佐々木先輩との付き合いは長く続かず。まぁ先輩と何で別れたのかは僕が知るはずもないけど。 ただイチが佐々木先輩と別れた後にまたサンのことを好きになったことは、鈍感なこの僕でも気づいていた。でも今さらイチがまだサンのことが好きだなんて、さすがにこの同窓会の前では言えなかったけどね。 イチのプライドを守るのも、家来である僕の役目なのだ。
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