死がふたりを分かつまで

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 彼と出会ったのは大学生の時だった。  最初は広いキャンパス内で時々すれ違う程度の仲だったが、3年生の頃、偶然ゼミが同じになって交際まで発展した。  そして交際してから5年が経とうとしていた頃、仕事も順調で結婚の話もするようになった彼は突然倒れ、余命宣告を受けた。  どんな病気だったのか、宣告された余命がどのくらいだったのか、今となってはもう覚えていない。  それでも私たちは親の反対を押し切って結婚を決め、式を挙げた。 「死がふたりを分かつまで」  誓いの言葉で聞いたその言葉が、すごく印象に残っている。  時が、もうすぐそこまで来ていて、誓った愛の期限は、もうごく僅かであることを、私たちは知っていたから。  どころかそれよりもっと先の、永遠の愛を誓い合ったつもりだった。  あの時はそんな思いと覚悟があったし、何よりも幸せだった。  けれどそれは、彼の病気を劇的に治療する新薬の登場により壊されることとなる。
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