死がふたりを分かつまで

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「病める時も健やかなる時も、死がふたりを分かつまで……」  そんな風に誓い合ったあの時は幸せだった。  だけど今は何かが違っている気がして、この結婚は正しかったのか、なんてことを毎日考えてしまう。  左手の薬指にで光る誓いの証は、今となっては私を、そして彼を縛る重い鎖と化した。 「行ってきます」 「行ってらっしゃい……あ、ねぇ」 「なに?」 「今日、お夕飯は?」 「いらない」 「そう……」 「じゃあ」 「うん……」  最低限交わされるふたりの会話はどこか機械的で、味気ないものばかり。 「こんな結婚、しなきゃ良かったね……」  バタンと閉じたドアに向かって、私はぽつりと呟いた。
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