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医師の話や浩二さんの言葉から、今の私の状況が少しずつ分かって来た。
私達が乗った飛行機は成田空港手前の畑へ墜落した。その事故で理紗はかすり傷だったが、私は脳挫傷で植物状態となってしまった。既に事故から三カ月が経過し、その私が初めて目を開いたのだ。
しかし私の状況は外から見ると、目を開いた以外全く変化は無く、偶然目を開いたが、植物状態のままだと診断されてしまっていた。
ふと気付くと、浩二さんが私を見つめている。
「百合、せっかく目が開いたのに……。まだ植物状態だなんて……」
彼が私の髪を撫でてくれている。その瞳は涙で一杯だ。
私、意識はあるの！ そう心の中で叫んでみても伝えることは出来なかった。
「ねぇ、パパ。まだ、ママは”おやすみ”なの？」
理紗の声に彼が振り返った。
「そうだね。ママはもう少し”おやすみ”なんだって。理紗は待てるかな？」
「うん、大丈夫だよ……」
理紗が浩二さんの横に顔を出した。
「ママ、ゆっくり”おやすみ”していてね」
そう言いながら理紗が私の頬に触れた。
その声に反応できない自分に深い悲しみが溢れて来る。でも私は涙を流すことも、その悲しみを表すことも出来なかった。
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