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終章
「それから何年、何十年。数百年と、ユキちゃんは篠目の者たちと一緒に過ごしてきたのよ」
聡子は、まだお喋りも上手にできないくらいの息子に、優しい口調で話す。
「ほんとに、子煩悩でねえ……お義母さんが、圭ちゃんの子守りをしてくれて助かったわーとか言ってたけど、ほんとそうだわ。猫の頃から子供好きだったんでしょう?」
聡子は息子から少し目線を上げた。靖成を自分のあぐらに座らせているのは、ユキだ。
「そうみたいだな。うん、可愛い。圭介に似て地味顔になりそうだけど、可愛いな」
「そうなのよねー。なんか地味顔な家系みたいなのよねえ……」
「んなこともねえよ。目付きの悪いのとかもいたぞ」
「それもちょっとねえ……」
ユキは靖成の顔をのぞきこむ。
「計算が合ってたら、靖成の子供が、俺の待ってるあの人の生まれ変わりになるんだな。おい、早く立派な陰陽師になれよ。そんで良い人見つけて結婚しろ」
聡子はわざとらしく渋い顔をする。
「ユキちゃん、それはさすがに気が早すぎるんじゃないの?」
「そうか?」
靖成は、ユキに高い高いをされて嬉しそうに声をあげている。
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