結婚競争曲

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 すっかり夜は明け、強い日差しを感じる。いよいよこれから結婚相手を探す競技がはじまる。あとはスタートの合図を待つだけ。  僕は陸上競技場の広大なフィールドに立ち、そのときがくるのを待っている。さっきから時計ばかり見ている。心臓はもう破裂寸前だ。  フィールドの外周にはずらりとテントが並び、競技に参加する選手のための炊き出しや飲み物などが並べられている。  僕の周りには男性ばかりがひしめき合っている。僕たちの対面側、およそ五十メートル先には女性ばかりが、サバンナの野生動物さながら群れをなしている。男女を問わず選手たちは、めいっぱいオシャレな格好をして競技場は熱気に溢れている。  腕時計の針が秒を刻む。スタート時刻の午前八時まで残り三分を切った。  係の人がピストルを持ってフィールドの隅に立った。そのすぐ近くに純白の長テーブルが並んでいる。そこがゴールだ。果たして僕はゴールにたどり着くことができるだろうか。  気持ちを落ち着けようと、僕はここにくるまでの道のりを振り返った。
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