夏の終わりの雨

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 二週間ほどすると、上野沙耶が出勤してきた。ご迷惑をおかけしましたと、周りに挨拶し、いつものように仕事を始める。うつむいた横顔からは色が失せ、言葉少なだった。  滝村重人はいつもと変わらなかった。  葵もいつもと変わりなく振舞う。それを期間パートの主婦たちが、興味深そうに見ているのが分かる。  でも、それしかない。  滝村重人と上野沙耶がどうなろうと私には関係ないから。――  私は、当面、この会社を辞めることもないだろう。始まったプロジェクト関係の割り当て仕事もある。仕事は大変だけど、面白くなりつつあった。  だって、なんで私が辞めなきゃいけないの?    今担当しているプロジェクトクトも投げ出したりしない。  仕事は大変だけど、やりがいはあった。
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