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恐る恐る尋ねてみた。
だっていくら幼なじみだからって、申し訳ない
ことには変わりない。
また軽くため息をついた彼は面倒くさそうに
話し出す。
「言っとくけど、結婚したら別れるつもりはない
からな。」
「…えっ?」
「俺にはボランティア精神なんかないんだ。
好きでも何でもない女のために結婚してやるほど
暇でもない。」
「え?ちょ、ちょっと待って…」
「ついでに言っとくけど、"俺の方から"付き合おう
って持ち掛けたのは一度しかないんだよ。
その意味分かるよな?」
はっと息を飲んだ。
高三のあの"俺達、付き合ってみる?"って言われた
時のことを思い出したから。
信じられない気持ちで彼を見つめる。
するとゆっくり近づいてきた。
一歩一歩距離が近づく度に呼吸が苦しくなる。
「なぁ、しぃちゃん?」
彼の声が甘く響いた。
私の中で一つの答えが出てるけど、やっぱり信じ
られなくて頭は混乱状態。
「ねぇ、何だか私のことが好きって言ってるみたい
に聞こえるんだけど。」
「さっきからそう言ってるだろ。」
その時、胸がドクンと大きな音をたてた。
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