不器用な私達は

5/10
前へ
/55ページ
次へ
信じられない。 本当にどれだけ、どれだけ傷ついたと思ってるんだ。 バカにされてる気がして、怒りが頂点に達した 私に彼はもっと信じられないことを言う。 「妬くか試したんだよ。 椎花の気持ちが分からなかったからな。」 あの、いつも態度の大きい拓海がポツリと溢す。 でも冗談だとは思えなかった。 きっと本当は言いたくなかったんだろう。 だって今まで怖いくらい私を見つめてた瞳が 揺れて、視線を反らしたから。 こんな姿見たことない。 「言えよ」 ふっと顔を上げた彼は私の顎を掬った。 「椎花は俺が他の女と遊んでていいのか? 付き合っていいのか?結婚していいのか?」 「私は…」 「お前のその口で、俺にどうして欲しいのか 言ってみろよ。」 あり得ないくらい心臓がバクバクしてる。 緊張から体が震えた。 なかなか言葉に出来ない私の唇に彼の指が微かに 触れる。 それが合図になった。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

143人が本棚に入れています
本棚に追加