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───本当にその夜はいろいろな意味で忙しかった
と思う。
強引だったのに、私に触れる手は初めての時と
変わらず優しくて、悔しいけど泣いてしまった。
それを見てまた痛いからだと勘違いする彼に
そうじゃないことを伝えると、信じられないくらい
照れた顔をするからつられて私まで照れてしまう。
そうやって朝まで二人で過ごして、それでもダルい
体を引きずって何とか会社に出勤した私は百瀬君に
事情を話した。
私としては変なことに巻き込まなくてよかったと
思ったんだけど、何故か百瀬君は残念そうに
見える。
"僕、諦め悪いんで"って、そんなことまで
言われた。
やっぱり百瀬君はよく分からない。
その後、会社を早退した私は拓海と待ち合わせして
お母さんの病院へと向かった。
結婚の報告と保証人になってもらうために。
だけどそこで、とんでもないことを聞かされる。
「ごめんねぇ。お腹にあるものは悪い腫瘍じゃ
なかったみたい。」
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