深夜2時のワンルーム

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「おやすみ」 「…今のは?どっち?」 うっすら目を開けて彼女の表情を確認する。 思った通り、ニヤニヤと口の端を上げ、僕のことを眺めていた。 「いい加減どっちの"おやすみ”なのか分かってよ」 「わざとだろう?」 ふふふと可愛く笑う彼女に笑みを向け、そのまま彼女の頭を自身の胸元へと引き寄せた。 「面倒な名前でごめん」 「ふふっ、もう慣れたよ」 柔らかい栗色の髪を撫で、僕の腕を枕にして目を瞑る彼女の顔を見つめる。 化粧は落としているのに睫毛はくるんと上がっている。 「でも、人と被らないいい名前だと思う。"おやすみ”って」 「いい名前…とは思ったことはないけど…」 ーーーそう。 僕の名前は"おやすみ” "朝野(あさの) おやすみ”という。
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