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「おやすみ」
「…今のは?どっち?」
うっすら目を開けて彼女の表情を確認する。
思った通り、ニヤニヤと口の端を上げ、僕のことを眺めていた。
「いい加減どっちの"おやすみ”なのか分かってよ」
「わざとだろう?」
ふふふと可愛く笑う彼女に笑みを向け、そのまま彼女の頭を自身の胸元へと引き寄せた。
「面倒な名前でごめん」
「ふふっ、もう慣れたよ」
柔らかい栗色の髪を撫で、僕の腕を枕にして目を瞑る彼女の顔を見つめる。
化粧は落としているのに睫毛はくるんと上がっている。
「でも、人と被らないいい名前だと思う。"おやすみ”って」
「いい名前…とは思ったことはないけど…」
ーーーそう。
僕の名前は"おやすみ”
"朝野 おやすみ”という。
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