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まぁそんな感じだったから、心の底からこの名前が嫌だった訳ではないのかもしれない。
むしろ僕よりも悩んだのは姉の方ではなかろうか。
忘れもしない、中学2年の夏。
会話の流れで2つ上の姉に向かって、僕はこういい放った。
「まぁ、"おはよう”より増しかな」
その瞬間、姉の華麗な左ストレートが僕の頬にヒットした。
冗談ではなく、一瞬体が地面から浮いた気がする。
それほどの威力を持ったパンチだった。
座り込んだまま頬を押さえ姉を見上げると、その目は憎しみに満ち溢れ、そして潤んでいた。
「二度とそれを言うな」
姉のものすごい剣幕に、当時の僕は無言で頷くことしかできなかったのだ。
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