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何、しようとしてるの?
私の疑問は視線にのみ乗せられる。
でも、その視線を受けたカイは知らないフリでシャツを半分脱ぐ。
バサッ!
次の瞬間には、カイの背中に見慣れた翼が一気に生えた。
その拍子に抜けた羽根が宙を舞う。
カイはそのまま翼を動かし始め、辺りに風が巻き起こる。
ウソ……まさか飛ぶの?
私は以前一緒に飛んだときのことを思い出し青ざめた。
地に足が着いていない恐怖。
少しでも腕の力を抜けば落ちてしまうという事実。
またあんな思いをしなきゃならないのか。
「いやっ! 放して!」
私は拒み、カイの腕を振り払おうとする。
でも、怒っている様子のカイは放してくれるどころかさらに私の腕を強く掴んだ。
「痛っ!」
アザになるんじゃないかと思うほど強く掴まれ、私は痛みに顔を歪める。
そんな私の片腕だけを掴み、カイは宙に浮く。
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