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引っ張られると思った次の瞬間には、私はカイと共に空へと飛んだ。
空圧が和らぐと、カイは私の腕を引き抱きつかせ、自分は私から手を離す。
私はカイの首に抱きつき、その腕以外には何の支えもない状態になった。
「ゃ……カイ、降ろして……」
今にも消え入りそうな声でカイの耳に直接言う。
でも、カイはやっぱりまだ怒っているのか応えはない。
それどころか、そのままの状態で宙を移動し始めた。
「っっっ!」
私は恐怖で声も出ない。
滑空、旋回、急上昇を繰り返すカイの背中に爪を立て、必死でしがみついていた。
そんな状態でずっといられるわけも無く、徐々に私の手が痺れてくる。
腕も限界が近くなってきて、このままだと本当に落ちてしまいそうになった。
「うっ、ひっ……お願い、やめてぇ……」
ついには泣き出してしまう。
そんな私に、カイはやっと話しかけてきた。
「やめて欲しいか?」
「当たり前でしょう!?」
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