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当然のことを聞かれて怒りたかったけど、宙を移動し続けている状態では返事を返すのがやっとだ。
それを知っているかのように、カイは次の言葉をわざとゆっくり言った。
「じゃあ、俺に謝れよ」
「え?」
「さっき首絞めたこととか、前足踏んだこととか」
何子供みたいなこと言ってるのよ。
「あれはカイが悪――きゃあぁ!!」
『悪いんでしょう?』と続けるはずの声は、宙返りをされたことで喉の奥に飲み込むことになった。
「謝れよ」
無茶な飛び方をしながら、尚も謝罪を要求してくるカイ。
私は恐怖の方が先立って叫んだ。
「あ、あやまるっ! 謝るからぁ!」
「じゃあ、ごめんなさいは?」
飛び方を和らげながら、カイは子供に言うように囁く。
普通の状態だったら子供扱いしないでと怒る所だけれど、今はそれどころじゃない。
私は子供の様に泣きながら返した。
「ご、ごめんなさぁいぃ……ひっ、ふぅ……」
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