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真っ直ぐな力強い眼差しに見つめられ、動悸が激しくなる。
触れて欲しくないはず。
抱かれたくなんてないはず。
……嫌いなはず……。
なのに……。
「実花、どうした? 返事は?」
自分の変化に戸惑う私に、カイは答えを要求した。
そのおかげで理性が戻ってくる。
何考えようとしてるの? 私は。
カイに抱かれるなんて良いわけないじゃない。
そう思いなおし、私は何故か意地を張るような気分で答える。
「そっ、そんな約束できるわけないでしょう?」
言うと、カイの視線を受け止めるのが恥ずかしくてそっぽを向いた。
「ふ~ん……そんなこと言っていいのか?」
そう言ったカイの顔は見れなかったけど、意味有り気にニヤリと笑っているのは明白だ。
嫌な感じがして、少し血の気が引く。
そしてその嫌な予感は当たっていた。
カイが、私を支える腕の力を弱めたんだ。
「きゃぁっ!?」
短い悲鳴を上げ、私は少しずり落ちる。
とっさに手に力を入れたからかろうじてカイの首に捕まっている状態だ。
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