166人が本棚に入れています
本棚に追加
第五話 演劇練習
「『おお、なんと美しい姫なのだろう』」
カイが、少し大げさな身振りで王子のセリフを口にする。
文化祭もあと僅かとなった今は、劇の練習も最後のツメに入っていた。
何度目かの通し練習。
皆真剣にやっているから、私も自然と真剣に頑張れた。
そのおかげで劇はかなりの出来になっていると思う。
……一つの点を除いては……。
「『愛しい白雪姫、私の口付けで目を覚まして――』」
「カーット!!」
カイのセリフは、監督でもあるミヤちゃんの大きな声で遮られた。
「戒くん! あなた大根すぎ! 何でそんなに棒読みなの!?」
ミヤちゃんの叫びに、カイを除いたクラスメート全員が頷く。
そう、一つの問題とはカイのセリフの棒読みなんだ。
最初のコメントを投稿しよう!