第五話 演劇練習

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 文化祭の準備や演劇練習。  それらの指示をテキパキと出し、クラスをまとめていたから。  可愛い顔してやり手のキャリアウーマンみたい。  ……でも、何だか怖がられてもいるみたいだよね。  現状を見ると。  なんて思いながら私は傍観者に徹していた。  だって、巻き込まれたくはない。  ざわめくクラスは、最後に川内くんがカイに近寄ることで終止符を打つ。  カイに近付いた川内くんは、哀れみの眼差しを向け肩をポンと軽く叩いた。 「戒、生きて戻って来いよ?」  ……。  そこまで?  川内くんの言葉を聞いて、それはそれでどんなことされるのか興味が出る。  まあ、怖いもの見たさって感じだけど。  でも言われた本人はそうもいかない。  カイは奇妙な表情をして戸惑っているようだった。    するとこの微妙な雰囲気を消し去るようにミヤちゃんが仕切りだす。 「ま、そういうことだから戒くん以外は帰っていいよ」
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