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その言葉に川内くんが同意した。
「そうだな、じゃあ皆帰ろうぜ」
そうしてカイが反論する暇も無く、皆は帰る準備を始めてしまう。
私も帰ろうとその場から離れようとしたとき、さっきまで戸惑いの表情を見せていたカイに腕を掴まれた。
「実花、お前は帰るなよ?」
「は? 何でよ?」
突然何を言うのか。
皆は帰るというのに、何で私だけ付き合わなくちゃいけないの?
「そんなに遅くならねぇようにするから、屋上ででも待ってろ」
カイは私の質問なんか無視して続けて指示する。
これが本契約した後の命令だったら従わざるをえなかったんだろうけど、今はまだ仮契約の身だ。
拒否することは出来る。
「嫌よ。私だって早く帰れるなら帰りたい――」
「もし帰ったら」
私の拒否の言葉を遮って、カイはニヤリと笑う。
それだけで嫌な予感をひしひしと感じた。
「もし帰ったら、明日覚えとけよ?」
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