第五話 演劇練習

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 笑ってはいたけれど、その切れ長の目はすごんでいるようでちょっと怖い。  何をされるのかは大体予想出来る。  だって、私がカイに何かされるとしたら、エッチなことか嫌がらせの空中飛行だ。  正直どちらもごめん(こうむ)る。  ……まあ、エッチなことは毎日のようにされてるから変わりないんだけどね。  でも、空中飛行だけは本気で嫌!  ってか出来ることならもう二度とされたくない!  だってあれ本当に怖いんだもの!!  特にこの間なんかは支えてくれなかったし。  今でも思い出すだけで涙が出てきそうなくらい怖かった。  そして今のカイの目は、同じこと……もしくはそれ以上に怖いことをしそうな感じにも見える。  私はこの間の恐怖を思い出し、少し涙目になりながら応えた。 「わ、分かったわよぉ……」  私の返事にカイは満足そうに微笑み、「よし」と呟く。  その表情は素直に格好良いと思わせるもので、この顔は好きだなと思ってしまった。
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