第五話 演劇練習

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 それともカイ、本当は成功させる気なんかないとか?  うーん、でも私に『抱かせろ』って言ったときは真剣だったし……。  どういうつもりなんだろう?  もしかして――。 「カイ、本当は私と本契約したくない……とか?」 「そうなんだろうな」 「ぅへぇえ!?」  独り言で口にした言葉に、返ってくるはずのない答えが返ってきて奇声を上げて驚く。  振り返ると、そこには三尾先生がいつの間にか突っ立っていた。 「み、三尾先生!? 何でここに!?」  驚きを落ち着かせること無くそのまま疑問をぶつける。  それに対して三尾先生はいつもの無表情で淡々と答えた。 「面倒な仕事を押し付けられてな……。息抜きに来たんだ。……お前こそどうしたんだ本條? 確か今頃は劇の練習をしているはずじゃなかったのか?」  答えると同時に逆に聞かれ、私はいきさつを説明した。  三尾先生は担任だし、状況は知っておいて貰わないと困るよね……きっと。
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