第五話 演劇練習

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 私はそのまま三尾先生が口を開くのを待った。  一、二分位経って、三尾先生が軽くため息をつく。 「まあ、いいだろう。カイと仮契約しているのだし、知っておくべきか……」  自分に言い聞かせるように言った先生の言葉にいぶかしむ。  何となくいい話ではないことは分かった。  眉を(ひそ)めた私の目を真っ直ぐに見た三尾先生は、ゆっくり口を開く。 「私は、お前の契約主がカイだと知ったとき驚いた。あいつは、誰とも契約しないと思っていたからな」  その言葉に転入したばかりの頃を思い出した。   授業中にカイに呼ばれたときのこと。  私の契約主であるカイを呼び出すために、三尾先生と一時的に仮契約させられた。  そのとき、確かに三尾先生はカイの名前を出すと驚いていた。  ……まあ、そんなに大げさに驚いてたわけじゃないけど。  とにかく、そういえばそうだったなと思い起こし頷いた。  そして聞く。
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