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カイ同様、ナギという人も人間の娘との契約をしていたなんて……。
その接点がどういう意味を持つのか知るために、今度は黙って三尾先生の言葉を待った。
「ナギとその娘は、主従関係と言うより夫婦のようでな、とても幸せそうだったのを覚えている。……カイも、そんな二人に憧れていた」
夫婦のような関係……。
何か、素敵だな。
私もそうだったら――。
そこまで考えて思考を止めた。
今私は何を考えただろう。
私もって何?
私もカイとそうなりたいって?
そんな!
冗談よね!?
そうよ、気の迷いに決まってるって!
私は、想像しかけたカイとの夫婦みたいな関係を頭の中から追い出すかのように頭を振った。
そんな私を気にすることなく三尾先生は続ける。
「だが、妖怪と人間。その違いは到底無くせるものではない」
「え?」
一変して淡々とした口調に厳しさがにじみ出た。
その変わり様に驚き、三尾先生を見る。
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