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少し、眉を寄せていた。
「寿命が、違いすぎるんだ……」
「あ……」
その一言だけで理解する。
寿命が違いすぎる。
人間の娘のほうが早く歳をとってしまうんだ。
「ナギは気にしなかったが、娘は老婆になった自分を見せたくなかったんだろう。……四十歳ほどの頃だな、自ら命を絶った」
寿命の違いに苦しんで命を絶つ。
小説や漫画でそんな話を見たことはあるけど、現実ではありえないと思っていた。
だって、そんなに苦しむほどの寿命の違いなんて普通ないから……。
でも、目の前の三尾先生の表情がそれが現実にあったことなんだと物語っていて……。
私は何故か、胸が苦しかった。
制服の胸の辺りをギュッと掴み、話の続きを聞く。
「三十路を過ぎた頃からその娘はおかしくなっていった。少しの小じわを異常なほど嫌い、美容にいいと言われるものなら何でも試すようになった」
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