第五話 演劇練習

21/33
前へ
/234ページ
次へ
 ……狂っても、仕方ないんだと思う。 「狂ったナギは、その鬼としての力を無差別に振るった。鬼は他の妖怪とは違う。場合によっては、自然を操り災害さえ起こせる」 「災害?」 「そうだ。……あの時は雨だったな。大雨が降り続き、川は氾濫し、山は土砂崩れが起きた」 「それって……」  かなり大事(おおごと)なんじゃ……。  もしかしたら人も死んだかもしれない。  そんな災害を一人の鬼が起こしたなんて……。 「酷い災害だった。……結局、山の神がナギを封印することでその災害は治まった」  私がなんとも言えない気分でいると、三尾先生は私を見て続ける。 「カイはな、そのときのことを知っている。他の誰より、一番近くでその二人を見てきたんだ」  そう言われて思い出す。  何のために今の説明を受けていたのか。  カイが私と本契約したくないんだろうと三尾先生が言うから、その理由を知るためだ。
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!

164人が本棚に入れています
本棚に追加