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……狂っても、仕方ないんだと思う。
「狂ったナギは、その鬼としての力を無差別に振るった。鬼は他の妖怪とは違う。場合によっては、自然を操り災害さえ起こせる」
「災害?」
「そうだ。……あの時は雨だったな。大雨が降り続き、川は氾濫し、山は土砂崩れが起きた」
「それって……」
かなり大事なんじゃ……。
もしかしたら人も死んだかもしれない。
そんな災害を一人の鬼が起こしたなんて……。
「酷い災害だった。……結局、山の神がナギを封印することでその災害は治まった」
私がなんとも言えない気分でいると、三尾先生は私を見て続ける。
「カイはな、そのときのことを知っている。他の誰より、一番近くでその二人を見てきたんだ」
そう言われて思い出す。
何のために今の説明を受けていたのか。
カイが私と本契約したくないんだろうと三尾先生が言うから、その理由を知るためだ。
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