第五話 演劇練習

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 それにしても、カイにそんな過去があったなんて……。  ナギという鬼と人間の娘。  カイは一番近くで二人を見て何を思っていたんだろう。  今までカイのことは嫌な奴としか思っていなかったけど、三尾先生の話を聞いてちょっと見方が変わった。  今はカイのことを知りたいと思う。  私は屋上のコンクリートの上に寝そべり薄暗くなった空を見上げる。  日はもう沈み、山間に僅かな光を残すのみ。 「流石に少し肌寒いかな?」  呟きつつも、体を温めようと身を縮こませたりはしなかった。  漆黒に染まりつつある空を見上げながら、同じ漆黒の瞳を想う。  いつも私をいじめて楽しんでいるカイ。  ただのオモチャとしか見ていないんじゃないかと思っていると、真剣な目で抱かせろと言ったりもする。  彼はあの吸い込まれるような瞳の奥で何を考えているんだろうか。  そんなことを考えながら、私は目を閉じた。
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