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それにしても、カイにそんな過去があったなんて……。
ナギという鬼と人間の娘。
カイは一番近くで二人を見て何を思っていたんだろう。
今までカイのことは嫌な奴としか思っていなかったけど、三尾先生の話を聞いてちょっと見方が変わった。
今はカイのことを知りたいと思う。
私は屋上のコンクリートの上に寝そべり薄暗くなった空を見上げる。
日はもう沈み、山間に僅かな光を残すのみ。
「流石に少し肌寒いかな?」
呟きつつも、体を温めようと身を縮こませたりはしなかった。
漆黒に染まりつつある空を見上げながら、同じ漆黒の瞳を想う。
いつも私をいじめて楽しんでいるカイ。
ただのオモチャとしか見ていないんじゃないかと思っていると、真剣な目で抱かせろと言ったりもする。
彼はあの吸い込まれるような瞳の奥で何を考えているんだろうか。
そんなことを考えながら、私は目を閉じた。
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