第一話 天狗との契約

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「こんにちわー。精が出ますね」  と、とりあえずありきたりな挨拶。 「おお、こんにちわ! 今豆植えたところだぁ!」  と、おばあさんはそのまま豆についていくつか語り出した。  私は豆に関しての知識なんてそんなにないし、「へぇ~」とか「そうなんですか」と相づちを打つ。  そしていくつか言葉を交わした後で聞かれた。 「ところでおめぇドコの子だ?」  今更かぁ!!  でも田舎のお年寄りのこういうところ、面白くて好きだ。  私は笑いながら説明する。 「昨日あっちの家に引っ越してきた本條です。これからよろしくお願いしますね」 「そうかぁ! よくまあこんな何もねぇところに」  そう言ったおばあさんは「わはは」と笑う。  元気なおばあさんだ。 「でも私自然とか好きなので、ここ結構気に入りましたよ」 「そうかぁ、そりゃあ良かった!」  おばあさんは嬉しそうにニカッと笑う。
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