166人が本棚に入れています
本棚に追加
「嘘……迷っちゃった?」
真夏で暑いはずなのに、今の私は寒い。
背筋に冷たいものが流れる。
額に、嫌な汗が滲んできた。
私は焦ってめちゃくちゃに走り回る。
きっとパニックに陥ってたんだと思う。
焦って走って、疲れ果てた頃にそこに着いた。
鮮やかな緑に囲まれた美しい池に……。
「綺麗……」
私はその池のあまりの美しさに、道に迷って焦っていたことも忘れてしまった。
池の縁に近寄ると、足に力が入らなくなって私は地べたにへたり込んだ。
サンダルで山の獣道を走り回って、疲れ果てた足が根を上げたみたい。
「ホント……疲れた……」
呟いて、私は草の上に倒れるように寝転がる。
緑の独特な匂いが鼻をつく。
土の匂いと混じって、自然の温かさを感じさせてくれる。
熱い日差しを木の葉が遮り、池の水が涼しさを運ぶ。
こんな心地良い状態。
眠りたくなるのは必然だった。
まだ日は高いし、少しだけなら昼寝しても大丈夫だよね?
そして、私は目を閉じた……。
最初のコメントを投稿しよう!