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親友のとんでもない台詞に思わず声が裏返る。
なぜそんな展開になるのか理解できない。
「そうだな。もうすぐ卒業だし、そのほうが手っ取り早い」
「でしょ。そしたら四人で遊んだりできるし」
「ちょ、ちょっと待って」
話がとんでもない方向に流れている。
私は柏崎くんと友だちになりたいわけじゃない。
「柏崎くんって女子と積極的に交流しないんでしょ? 友だちになりたいなんて言ったら絶対嫌がられるから。第一、私そんなの望んでないし」
「――へえ、ずいぶん嫌われてるなあ」
突然背後から響いた低音にビクリと肩が跳ねた。
一気に血の気が引く。
「玲生、遅かったな」
「来る途中で担任につかまったんだよ。お前が日直の仕事放り投げてたから」
「あ、そっか。悪い」
長めの前髪をかき上げながら歩いてきた柏崎くんが私の隣にどかっと腰を下ろす。
手には多田くんと同じコンビニの袋を持っている。
彼の体重に古いべンチが少し軋んだ。
なんで隣に座るの?
たった今、自分が放った言葉に居たたまれなくなり、うつむいて弁当箱を巾着にしまう。
緊張で指が僅かに震えてうまく結べない。
クラスの半数以上は男子だし、異性が隣に座るのなんて特別な出来事でもないのになんで私はこんなに狼狽えているんだろう。
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