7398人が本棚に入れています
本棚に追加
「終わったの?」
「さっき美優が教えてくれたのが最後の問題」
「じゃあいいわね。彩希、柏崎を好き?」
直球すぎる問いかけに呼吸が止まった気がした。
「友だちとしてじゃないわよ。恋愛感情があるかないか」
「なんで急にそんな話……しかも教室で」
「心配しなくても皆、場所を移動して課題を解いてるから、誰も聞いてないわよ」
美優はひらひらと華奢な手を左右に振る。
私たちの席は教室の一番後ろの窓側だ。
隣の席の男子は軽いいびきをかいているし、その周囲の席も今は空席だ。
「どうなの?」
「……最初は失礼な人だと思ったし、苦手だったけど……今はすごく思いやり深くて素敵な人だと思う。尊敬するところもたくさんあって……玲生みたいな同級生の男子に初めて出会った」
自信にあふれた行動や強引なペースに振り回されるときはあるけれど、不思議と嫌ではない。
むしろ彼ならこういう場合はどう考えるだろう、なにを言うだろうと無意識に思うくらい、日増しに彼の存在が私の中で大きくなっている。
「柏崎は彩希のそういう真っすぐな部分を気に入ってるのね、きっと」
「まさか、あんなにモテるのに」
「あれだけ特別扱いされてるのに?」
語気を強める親友に小さく項垂れる。
最初のコメントを投稿しよう!