2.「俺は彩希がいてくれるだけで十分だ」

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「終わったの?」 「さっき美優が教えてくれたのが最後の問題」 「じゃあいいわね。彩希、柏崎を好き?」 直球すぎる問いかけに呼吸が止まった気がした。 「友だちとしてじゃないわよ。恋愛感情があるかないか」 「なんで急にそんな話……しかも教室で」 「心配しなくても皆、場所を移動して課題を解いてるから、誰も聞いてないわよ」 美優はひらひらと華奢な手を左右に振る。 私たちの席は教室の一番後ろの窓側だ。 隣の席の男子は軽いいびきをかいているし、その周囲の席も今は空席だ。 「どうなの?」 「……最初は失礼な人だと思ったし、苦手だったけど……今はすごく思いやり深くて素敵な人だと思う。尊敬するところもたくさんあって……玲生みたいな同級生の男子に初めて出会った」 自信にあふれた行動や強引なペースに振り回されるときはあるけれど、不思議と嫌ではない。 むしろ彼ならこういう場合はどう考えるだろう、なにを言うだろうと無意識に思うくらい、日増しに彼の存在が私の中で大きくなっている。 「柏崎は彩希のそういう真っすぐな部分を気に入ってるのね、きっと」 「まさか、あんなにモテるのに」 「あれだけ特別扱いされてるのに?」 語気を強める親友に小さく項垂れる。
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