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二葉高校は一学年が十クラスあり、校舎も広く、クラス編成によっては使用する施設がまったく異なる。
私と美優は一年生で同じクラスになり意気投合した。
けれど多田くんは八組で、約束をしなければ校内ではほとんど会えないとよく美優が嘆いていた。
クラスが離れれば離れるほど偶然校内で遭遇する確率は低くなる。
二年生以降は進路によってクラスが編成される。
美優と私は私立文系コースで隣同士のクラスだったが、国立理系特進コースの多田くんと美優は離れた。
三年生の今も、私と美優は同じクラスだが多田くんはもちろん違う。
「こんな身近に柏崎を知らない女子がいるなんて」
「美優、知り合いなの?」
さっきと似たような問いをすると、親友が再び胡乱な目を向けてくる。
「私、中学一年の時、柏崎と同じクラスだったの。ちなみに柏崎と成亮は親友同士で今も特進の同じクラスよ」
「そうなの?」
「成亮がよく玲生が、玲生がって言ってるでしょ」
「あれ、柏崎くんのことだったんだ」
「誰の話だと思っていたのよ?」
親友が呆れたような声を上げる。
いつも穏やかで落ち着いた雰囲気の多田くんは親切にも試験前に、美優と私に勉強会をしてくれる。
雰囲気の異なるふたりが親友だとは思いもしなかった。
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