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6.七年ごしの告白
午後七時を過ぎ、更衣室を兼ねた地下のロッカールームは帰宅準備中の女性たちで混雑している。
「彩希、お疲れ様」
渉外担当者の田畑佳澄に声をかけられた。
「お疲れ様、佳澄」
佳澄と私のロッカーは同期のせいもあり、隣同士になっている。
大学を卒業した私は都市銀行に就職した。
一流大学出身の優秀な人材が多い中で採用されたのはただただ運がよかったとしか言いようがない。
現在入社三年目、二十五歳の私は目黒支店の融資課で住宅ローンの担当をしている。
佳澄とは新入社員研修の日程と配属先が同じだったのがきっかけで仲良くなった。
以来、明るく面倒見のよい彼女には助けられてばかりだ。
ほかに男性の同期がふたりいるが、ひとりはこの四月の辞令で転勤してしまった。
「やっと金曜日ね。久しぶりの同期会、楽しみだわ!」
ベリーショートヘアの小さな頭を揺らして、佳澄が嬉しそうに言う。
「この間集まったのは年明けだったよね?」
ロッカーからバッグとスプリングコートを取り出し、ひとつに結んでいた髪をほどく。
大学の頃から伸ばし始めた髪は、現在背中半分くらいの長さになっている。
我が社には制服がないので、身支度にそれほど時間はかからない。
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