6.七年ごしの告白

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「一旦店に戻るわ。ごめんね、すぐ追いかけるから先に行ってて。加治もまだ終わらないってさっき連絡がきたんだけど場所はわかる?」 「うん、大丈夫」 「彩希をひとりで行かせると加治がうるさいのよね。アイツ彩希には甘いから」 「違うわよ、以前私がお店を間違えて迷っちゃったからでしょ」 加治くんは爽やかな外見と気さくな性格で支店の女性社員からかなり人気がある。 面倒見もいいので後輩にも慕われている。 「それだけじゃないと思うけど……とにかく気をつけてね。ここを出るときにまた連絡するわ」 同期と別れ、私は五反田駅前にある店に向かった。 無事に到着し、入り口近くの店員に幹事の名前を告げると二階の座敷に案内された。 「彩希、お疲れ様!」 入り口近くに座っていた亜子が明るく声をかけてくれた。 四卓置かれている六人掛けの座卓にはすでに数名の同期が腰を下ろしている。 「お疲れ様。佳澄が急な仕事で少し遅れるって」 「了解、相変わらず忙しそうだね。彩希と会うのは久しぶりだし、ここに座ってよ」 亜子に誘われ出入り口に近い席に着き、しばらくすると会が始まった。 男女交えて十五名ほどが集まり、銘々に話したり、料理に舌鼓をうつ。 亜子と私も近況を報告しあい、くつろいだ雰囲気で過ごしていた。
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