第1章

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          弥生は糢袈と同棲を決めた夜の事を思い出していた。  あの夜は久しぶりに糢袈と会えた事に喜びの感情が溢れてきて、一緒に晩御飯を食べに行った。  そしてそのまま、弥生の運転する車でラブホテルへと向かった。  駐車場に車を停車させて、チェックインを済ませて部屋に入った途端、弥生は糢袈の身体を勢いよく壁に押し付けるとほぼ強引に唇を奪った。  約一ヶ月振りの糢袈との情交に弥生は興奮し、糢袈の腕を力任せに引っ張ると、そのまま一緒にベッドへと雪崩れ込む。 「ちょっ……ッ! 弥生! やょぃ……、ゃ、待っ……ッ!」  弥生は糢袈の抗議する声など全く耳に届いていない様子で、糢袈を抱き締める弥生の腕の力は弱まる気配がまるでない。  弥生の舌はいとも簡単に糢袈の口内へと滑り込み、そのまま巧みに舌を動かして、糢袈の舌をあっさりと捕らえては捕食者のように無我夢中になって食べ漁る。  捩れるように巻き付く貪欲で不埒な舌はまるで餌に飢えた餓死寸前の猛獣のようで、その徐々に熱を帯びてゆく舌に火傷しそうになる。       
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