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壱 … Kagura : three years ago 1 …
3年前の話、だ。
中高時代の友人である詩から突然、連絡があり、久し振りに会うことになった。
「……凄い行列だね」
寒空の下、とある建物の前に並ぶ長蛇の列を見た途端、私の口から溜息と共に思わず非難めいた言葉が漏れ出てしまう。
「知る人ぞ知る、よ。凄くよく当たるって」
「……ええ? 何ソレ。本当なの?」
正直、胡散臭さしか感じられず、私は詩に問い掛けた。
「本当だって! お隣の仁兄の『結婚』と『離婚』をピッタリ言い当てたんだから! それも7年も前にっ!」
「……その『仁兄』サンに聞いたの? ココの占いが当たったって?」
『結婚』も『離婚』も仲の良いお隣さん同士なら、本人や母親から聞いて知っていてもなんら不思議ではない。その『仁さん』が突然、実家に戻った為、詩が知った、とも考えられる。
ただ、その彼がココの占いに来て、その占いの内容まで当たった、なんて何故分かるのだろう?しかも、行列を見る限り男性は一人も見当たらなかった。
詩は首を振って俯きつつ答えた。
「実は、仁兄には小さな頃から長年片想いを――――」
つまり、詩は過去、その『仁さん』との恋愛運を占ってもらったことがあり、その彼が将来、結婚・離婚するだろう、というニュアンスらしきことを聞いてしまったそうだ。そして、この度、それが見事当たってしまった、とのことだった。
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